中絶手術後の生理と避妊
妊娠中のお身体は子宮が膨れる、ホルモンバランスが変わるなど、通常の状態とは異なります。中絶手術は人工的に妊娠の継続を中断させるため、子宮の収縮やホルモンバランスが通常の状態に戻ろうと大きく変化します。ホルモンバランスが回復するまでには数週間かかることがあり、生理周期が乱れたり遅れたりすることもよくあります。
生理周期が不順になると避妊はより難しくなります。そして、中絶手術後、次の生理が来る前に再び妊娠してしまうことは珍しくありません。そのため、手術後は生理が来る前であっても避妊がとても重要です。パートナーとも話し合って最適な避妊方法を選択するためにも、まずは避妊に関する正しい情報を得るようにしてください。当院では、ご希望のある方に産婦人科医の立場から、さまざまな避妊法やそのメリット・デメリットをわかりやすくご説明しています。
中絶後の生理
当院では、妊娠11週目6日までに行う初期中絶手術を行っており、安全性の高さからWHOでも推奨されている吸引法を用いて子宮内の胎児や胎盤を人為的に取り出しています。中絶手術を行うと、出産に備えて変化していたホルモンバランスが生理周囲に合わせたものに戻ろうとしますが、戻るまでには数週間かかることもあり、その間はホルモンバランスが乱れた状態になって、身体にさまざまな不調が現れることがあります。
ホルモンバランスの乱れにより生理周期も乱されるため、手術後に最初の生理が来るタイミングは、30~50日経過したあたりが多くなっています。1ヶ月~1ヶ月半以上経過しても生理が来ない場合は、必ず受診してください。その際には、基礎体温表を必ずご持参ください。当院では手術後に基礎体温表をお渡しして、毎日計測・記録をお願いしています。
なお、不正出血が起こってそれを生理と勘違いしてしまうケースもあります。おかしいなと感じたら早めに受診しましょう。
中絶後の避妊
妊娠を望まない場合は、中絶後、必ず避妊してください。パートナーと話し合ってお二人に一番適した方法をとることも重要です。そのために、当院では避妊について正しい情報をお伝えしています。また、パートナーとは相談しにくいという場合には、女性が自分の身体を自分で守ることができる避妊法もあります。ご自分でコントロールできれば余計な不安に悩まされずに生活することができます。避妊法には様々なものがあり、メリットとデメリットもそれぞれ異なりますので、当院ではわかりやすくご説明しています。また、低用量ピルのように、避妊だけでなく、生理不順など生理に関するトラブルを軽減する効果を期待できるものもあります。ご自分に最もフィットした避妊法を見つけるために、まずはご相談ください。
手術後の性交渉について
初期中絶手術を受けた場合、最低でも術後2週間は性交渉厳禁です。また、2週間以降には排卵がいつ起こっても不思議ではないので、必ず避妊してください。次の生理が来る前に再び妊娠してしまうケースもあります。心身への負担を考慮した場合、性交渉は術後、最初の生理がきてからにするようおすすめしています。
ピルの服用について
手術後は、通常のホルモンバランスに戻るまでしばらくバランスが乱れ、身体の不調が起こりやすくなります。手術後、適切な時期に低用量ピルを飲みはじめることで月経周期へのスムーズな回復が図れます。また、ピルの内服によって子宮内膜の回復も促進されます。生理に関する様々なトラブル改善も期待できますので、避妊だけでなく体調管理のためにも低用量ピルの継続服用はお勧めできます。