中絶手術の方法

初期中絶の手術手法

初期中絶手術には、吸引法と掻把(そうは)法の2種類があります。WHO(世界保健機関)は2012年に、『安全な中絶に関するガイドライン』を発表しました。当院では、WHOや日本産婦人科学会が安全性の高さから推奨している吸引法による手術を行っています。

吸引法とは

子宮に筒状の器具を挿入して陰圧をかけ、子宮内部の胎児や胎盤を吸引する手法です。手術時間が短く、出血量が少なく、安定的に安全な処置ができることから、先進国では主流になっています。国内でも導入している施設が増えてきております。

メリット

術者の技量や集中力などから影響を受けにくく、安全な処置を安定して行うことが可能 出血量の低減、手術時間の短縮により、負担を減らせる

デメリット

可能なクリニックや経験豊富なドクターが少ない 吸引法に合わせた術後ケアができる医療機関が少ない

掻爬法とは

手術前に子宮口を広げ、子宮内部の胎児や胎盤をスプーン状の器具や鉗子で除去する手法です。妊娠11週までの初期中絶手術は、現在も8割が掻把法で行われています。手術時間が長くなるケースが多く、出血量も増えやすい傾向があります。医師が最初に習う中絶手術手法であることから、長く行われてきています。

メリット

経験豊富なドクターの場合、指先で子宮内の状態を把握しやすい 一般的に行われている手法であることから、多くのクリニックから選べる

デメリット

術者の技量や集中力などから影響を受けやすく、安定した安全性という点でリスクがある 出血量の増加が懸念される 子宮穿孔や炎症など、不測の事態を起こすリスクが吸引法に比べて高い

前処置について(子宮頚管の拡張)

子宮口は将来の妊娠や出産にとても重要ですから、子宮口が狭い場合には手術前に子宮口を広げておくことで安全な中絶手術が可能になります。
子宮口を広げるために、当院では「ラミセル」、あるいは「ラミナリア」という専用の医療器具を短時間(約2時間)子宮頚管に挿入する事前処置を行っています。ラミセルは圧縮された棒状のスポンジです。挿入されたラミセルは水分を含んで、ゆっくり、やわらかく膨らんでいくことで無理なく子宮口を広げます。ソフトな素材ですから、子宮や子宮頚管を傷付けることなく子宮口を広げることができます。挿入時にごく軽い痛みを感じることもありますが、ほとんどの場合すぐに治まります。

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